『楽園の12ヶ月』のこと              仲本京子

沖縄の1年間にはたくさんの伝統行事がひしめいています。
琉球王朝時代から続く、主に旧暦を軸とした行事が、公共のもの、家族単位のものと色々あります。
町や村によりその時期や形態は違いますが、月ごとにピックアップしてアクリル画「楽園シリーズ」に描いてみました。どうぞお楽しみ下さい。                        


1月
 ムーチー:鬼餅。1年間の厄払い。月桃の葉で包んだ蒸し餅を作って食べる。新生児のいる家庭では「初ムーチー」として祝う。
2月 桜祭り :沖縄の桜は台湾由来の寒緋桜で日本一早く咲く。その鮮やかで強い色は独特で冬の風物詩となっている。
3月 浜降り :今はあまり見られなくなった女性の節句。浜で身体の汚れを洗い流して厄を払う。重箱には三月菓子などを詰める。
4月 清明祭 :祖先供養の行事。門中(親族)が本家の墓前に集い、重箱料理を供えて線香をあげる。祖先とのピクニックとも言える。
5月 ユッカヌヒー:昔は子供が年に一度おもちゃを買ってもらえる日。ポーポーなどのお菓子が仏壇に供えられた。
6月 ハーリー:漁港で行われるサバニ(伝統漁船)レース。海人(ウミンチュ)による豊漁と安全祈願の祭り。
7月 夏祭り :特別な行事のある月ではないが、夏の始まりとして各地で花火大会や祭りが開かれる。
8月 エイサー:旧盆にこの世に里帰りしたご先祖を慰めお送りする儀式。パーランクーを鳴らす独特な踊りは壮大なスケール。
9月 獅子舞 :悪霊を払い、五穀豊穣と地域の繁栄をもたらすといわれ、各地で受け継がれる十五夜の伝統行事。
10月 綱引き :集落の豊作を占う行事。勝った組が豊作(世果報=ユガフ)、負けた組が凶作(餓死世)となる真剣勝負。
11月 旗頭  :男性陣が、士気を高めるために掲げる重く大きなのぼり。各地にシンボルとなる意匠があり、綱引きなどでも披露される。
12月 マラソン:今年も3万人が走った那覇マラソンが有名。冬の気候が穏やかな沖縄では各地でスポーツの大会が開かれる。