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ようやく入れた場内には、20世紀の2大画家が終生持ちつづけた関係が、140点以上に上るペインティング、ドローイング、彫刻などで探求されていた。
「ライバルであり、親友であった」2人。同じ仕事をする他人どうしで、そういう間柄になれるということは、幸運なことだと思う。
マティスの描く人物の、黒く深い洞窟のような瞳に、心を奪われる。

美術舘では他に、沖縄出身でNY在住の現代美術家・照屋勇賢氏がメトロポリタンのダビンチ展と、グッゲンハイムを一緒にまわってくれた。彼は、ソーホーの画廊ARTIST SPACEのグループ展に「なすび画廊」作品等で知られる美術家・小沢剛氏のヘルプで作品を出すということで、翌日はオープニングを控えていた。展示を観たが、おなじみの「なすび」boxのひとつに入った照屋氏の小さな作品は、持ち味の再生感ある作品であった。
ダビンチ展も混雑していたが、本物のダビンチの素描を大量に見ることができ、感激だった。素描というものは、作家の筆圧まで感じることができる。
グッゲンハイムのMatthew Barney展では、美術館の螺旋ホール全体が、エール大学卒業、元J CREWのモデル、歌手ビョークのパートナーと華やかな話題にことかかないマシュー・ワールド一色に染まっていた。作家独特の、グロテスクで執拗なまでの美意識がこれでもかと展示され、圧巻は会場中央に設置された巨大スクリーンに映し出された映画「クレマスターサイクル」の上映。少々のマッチョイズムはご愛嬌だ。

いつもながら短い旅路であり、帰国早々戦争まで始まってしまったが、収穫の多い滞在となった。NYへ行くたびに思うのは「早く自分のアトリエにもどって絵を描きたい」ということだ。自分のキャンバスと、ブラシを持って、自分の絵を思いきり描きたい。この不思議な情熱が消えない限り、きっといくつになっても絵を描いているだろう。

早く世界に平和が戻ることを祈りたい。


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