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4.The new york city water falls−滝のアート

ニューヨーク市とパブリックアート・ファンドとのコラボレーションプロジェクトとしてこの夏注目のされているのが、アーティストOlafur Eliassonによる"The new york city water falls"。 http://www.nycwaterfalls.org/

イーストリバーの4ヶ所に高大な滝の装置を作ったもので、プレスリリースによると「川の淡水と海水の混じりあういわば“海峡”であり動植物の貴重な生息地でもあるイースト川に循環装置を作り出したもの。100パーセントgreen powerを使った画期的なアート」と説明されている。夜はライトアップされることもあるそうだ。
このようなパブリックアートはNYでしばしば大々的に仕掛けられる。やはり大掛かりな分インパクトも大きく、観る者を圧倒する迫力を持っている。
今回はラッキーなことに、娘と乗ったサークルラインダウンタウンの船・ゼファーが、このパブリックアートの公式観覧船に指定されていて、船上から4ヶ所すべての滝に接近しながら見ることができた。
余談だが、「お定まりの観光地は自由の女神で充分でしょう。将来友達と行きなさい」と娘に今回の旅では諦めさせた“ナイアガラの滝”を、けっきょく疑似体験したような部分も、少しあった。

さてこの1967年生まれのアーティストOlafur Eliassonはアーティストステイトメントの中で、「人間にとって必要不可欠な水が大自然の中で作り出す現象である滝を、あえてニューヨークビル群を背景とする“建築(構築)物”として再現させた。それにより、誰もが渇望する大自然を都会に居ながらにして体験し、各々が環境を考える機会になる」と記している。

4ヶ所の滝は橋の下、川岸に近いものとがあり、ごく普通のビルの建材(足場、ポンプ、パイプ)などで水の循環を作り出している。
それぞれに周りの都会光景とマッチしているが、川面からひときわ高くそびえる足場の先端から落ちる滝は、人工的な建材ががっしり堂々と透けて見えるがゆえに、わざわざ遊具を頑丈に作ってくれたような楽しさがある。
水のある光景を人は常に夢みる。人工的なプールやせせらぎ、大海や、大自然の川や湖ならなおのこと。
体内でも体外でも、人間は水を必要としているのだ。

真夏のNYは冗談抜きで水のボトルなしには歩けない。船上で、雄大な滝の姿を見、音を聞きながらミネラルウォーターをごくごく飲む。
滝を飲んでいるような気がした。

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